『肉を食べたら、体が酸性になる』 のうそ
2017年 04月 16日
今日は、久しぶりに、ヘルスカウンセラー的な記事を♪
『アルカリ性ダイエット』って、健康法に興味がある人は聞いたことあるかもしれません。
食べ物を酸性とアルカリ性に分類して、アルカリ性の食品をメインに食べるようにすると、体がアルカリ性になり、ダイエット効果はもちろんのこと、深刻な病気(がんなど)にも、効果があると言われている健康食事法です。
で、これは、ちょっと違うよね、、、って思うのですが、なかなかそういう情報、日本では見つけにくい感じがしたので、ちょっと今日は、そのことについて書いてみたいと思います。
というか、ヘルスセッションのクライアントさんからの質問があったので、ちょうどいいタイミングだと思って調べたこと記事にすることにしました。
まず、アルカリ性ダイエットとは、
食べた食べ物によって、体が酸性、アルカリ性に変化(PHから)するというアイデアから始まっていて、体をアルカリ性にする食べ物、体を酸性にする食べ物ということで食品が分けられています。
どのような仕組みでそれが働くかというと、、、
食べ物を代謝して食べ物からカロリーを摂取するとき、実際食べ物は体内で、燃やされているのです。ただ、ゆっくり、制御された方法で、”燃やされて”います。
食べ物が燃やされるとき、それらは、実際に灰残留を後に残します。(それはまるで、木をウッドストーブで燃やしたときみたいに)
そして、この灰が、酸性であるか、アルカリ性であるかもしくは中性であるかするわけです。そして、このアルカリ性ダイエットで言われていることには、この灰がダイレクトに体の酸性、アルカリ性に影響してしまうということなのです。
例えば、あなたが、酸性の灰残留物を残すものを食べたら、体が酸性に傾き、アルカリ性の灰残留物を残す食べ物を食べたら体がアルカリ性に傾くというわけ。そして、中性のものを食べたら中性ということですね。
酸性の灰残留物はあなたをもろくして、病気にかかりやすくし、アルカリ性の灰残留物はあなたを守る方向に働くと考えられています。そういうわけで、アルカリ性の食品を摂って、健康を増幅しましょう、というセオリーです。
酸性の灰残留物を残すと言われている食べ物は、たんぱく質、リン酸、硫黄、そして、アルカリ性の灰残留物を残す食べ物は、カルシウム、マグネシウム、カリウムです。
- 酸性食品: 肉、鶏肉、魚、乳製品、卵、穀類、アルコール
- 中性食品: 自然な油脂、でんぷん、砂糖
- アルカリ性食品: 果物、ナッツ、豆類、野菜
つまり
アルカリ性ダイエットのセオリー:
灰残留物のアルカリ性、酸性が直接体のアルカリ性、酸性に影響する。
体のPHを制御しているものは?
って疑問がここで出てきます。
アルカリ性ダイエットに関して見ていく上で、体のPHについて理解していく必要があります。
PHというのは、0から14まであり、
0から7が 酸性
7が中性
7から14がアルカリ性
です。
このアルカリ性ダイエットで、体がアルカリ性になっているとか、酸性になっているというのは、尿のPHによって調べているのですが、
まず大事なことの一つとして、体の中で、PHバランスというのは、各場所で違うということがあります。ある場所は、酸性で、ある場所はアルカリ性であって、全部が同じ値ではないのです。
胃は塩酸で入っているため、PHは2から3.5と超酸性です。食事を分解するために、その必要があるからなのですね。
そして、血液は常に、少しだけアルカリ性なのです。PHでいうと、7.35から7.45位になります。
もし、この血液のPHバランスが、この範囲からずれてしまったら、非常に重篤な状態に陥ってしまうのです。このような状態はある病気の特定の状態の時に起こるのですが、血液のPHが正常値からずれるというのは、食べ物とは全く関係ないのです。
食べ物のPHは尿のPHには影響するが、血液のPHには影響しないのです。
血液のPHを一定に保っているということは、人間の体にとって非常に大切なことなのです。
もし、血中PH バランスが、正常値から外れてしまったら、あなたの細胞は動きを止めてしまい、すぐに死に向かってしまうのです。
それゆえ、体はいくつものメカニズムを駆使して、体のPHバランスを制御しているのです。
このことは、酸塩基恒常性と呼ばれています。
こういうわけで、幸運にも、私たちが食べる食べ物で、血液のPHバランスを変えるなんてことができるわけないのです。
つまりは、食べ物は、血液のPHを変えることができない、以上!って感じですね。
でも、食べものは尿のPHを変えることができます。
それは、逆に、血液のPHを一定に保つために、体の制御システムが働き、尿から、余計な酸性物質を出しているからなのですね。
大きなステーキを食べて、数時間後には、体は、酸性物質を体のシステムないから排除するために、いつもより多くの酸性物質を尿から出しているであろうと考えられます。
言われていることとしては、尿のPHというものは、体全体的なPHバランスや、健康度を図るのには、ほとんど、指標にならないということです。
尿のPHというのは、食べ物だけではなくて、非常にたくさんの要因で変化するものなのです。
酸性食品は骨粗鬆症を引き起こすのか?
また、酸性食品が骨粗鬆症を引き起こすっていうことも言われているようですが、そのことはどうなんでしょう?
骨粗鬆症とは、骨の中のミネラルが減ってしまっている症状ですね。
骨粗鬆症は、閉経を迎えた女性に多く、骨粗鬆症になると、骨折のリスクがものすごく高まると言われています。
アルカリ性ダイエットでは、血液のPHレベルを一定に保つために、あなたが食べた酸性食品を中和するために、体がアルカリミネラル(カルシウムなど)を骨から取ってしまうのだと言われています。
この説によると、典型的な西洋食などの酸性食品は骨のミネラル密度を減少させると言割れています。
この問題を考えるときに、腎臓の機能というものがすっかり忘れ去られていることに、注意しないといけないのです。
腎臓というのは、そもそもの主要な働きとして、酸性物質を取り除き、体のPHを制御しているのです。
腎臓は、炭酸水素鉄を生産していて、血中の酸性物質をちゅわしているのです。この工程によって、血中のPHというものが、完璧に制御されているのです。
私たちの呼吸器系というのも、血中PHを制御するのに関係しています。炭酸水素鉄が血中で酸性物質と結びついて二酸化炭素と、水が形成されるのです。二酸化炭素は吐き出され、水は尿として排出されます。
この工程に、骨は全く関与していないのです。
また、この説で問題なのは、骨粗鬆症の主要な原因が無視されていることです。それは、骨から、コラーゲンというたんぱく質が失われているということです。
皮肉にも、このコラーゲンの低下というのが、オルトケイ酸と、ビタミンCがダイエットに少ないことが強く関与しているわけです。
研究においては、食生活の酸性食品と骨の密度との関係は全く見つかっていないそうです。事実、尿のPHレベルと、骨の健康についても、全く関係性が見つかっていないのです。
間違った信じ込みに対することですが、高タンパクな食生活は骨の健康と結びついているのです。
臨床において症例として出ているのは、酸性食品が体のカルシウムレベルに影響を与えないということでした。
というよりも、骨の健康に貢献するように働いているのです。カルシウム保持力が高まり、IGF-1ホルモンが活性化し、筋肉と、骨を修復する方向に働くのです。
酸性食品と、癌について。
ガンというのは、酸性環境で成長するから、アルカリ性ダイエットで治癒することができるとまで言っている人もいます。
そこについて、です。
まず、先にも述べたように、「食べ物は血液のPHを変えることはできない。」のです。
そして、がん細胞は、少しアルカリに傾いている環境(PH7.4)においても、成長するそうなのです。
そして、酸性の環境下で、ガンは早く成長するのですが、この酸性環境というのは、がん細胞そのものが作り出してしまうのです。酸性環境が、ガンを作り出すのではなく、癌が酸性環境を作り出すのです。
昔の人が食べていたものは?
アルカリ性ダイエット理論で言われているのは、農耕文化以前は87パーセントの人がアルカリ性リッチな食事を食べていたということですが、Weston A Priceという、私が支持している研究団体研究では、マサイ族やイヌイットは酸性食品をメインに食べていた民族で、健康に過ごしていたことで有名だったりするのです。
そして、最近の研究では、農耕文化が始まる前は、約半分の人がアルカリ性食品メインのダイエットをしていて、約半分の人が酸性食品をメインで食べていたというものも出てきているようです。
アルカリ性ダイエットは、添加物などを取らないように自然な食べ物を推奨するところは、間違っていないなと思います。
ただ、私は、動物性のたんぱく質が推奨されていないので、長期のダイエットにしたら、危険なのではないかな、と思っています。